廿日市市をもっと楽しむための総合情報マガジン
こんにちは!
廿日市市出身、歴史オタクで旅好きのハッツーです!
私は、小学校の夏休みの自由研究で廿日市市の歴史を調べて、まとめたことがきっかけで、廿日市市にまつわる歴史が大好きになりました。
そんな私が今回ご紹介するのは、広島県広島市にある原爆ドームに毎年沢山届けられる折り鶴についてです!
折り鶴に込められる願いは、
・長寿祈願:七夕飾りに用いられる
・病気平癒(へいゆ)祈願:早く病気が治るようにお見舞いとして届けられる
・平和の象徴:平和への祈りとして、原爆ドームに届けられる
などがあげられます。
折り鶴になぜこのような願いが込められるようになったのか、時代を遡ってご紹介していきます!
引用:幻冬舎plus
鶴の平均寿命は、25〜30歳であり、他の動物と比べると長生きであったことから、古くから「長寿を象徴する吉祥の鳥」として大切にされてきました。平安時代の人の平均寿命は、鶴と同じ25〜30歳であり、人と同じくらい、場合によっては人よりも長生きする動物だったんです!
また、鶴は夫婦仲がとてもよく、一度決めたパートナーと一生連れ添うことから、「夫婦鶴(めおとづる)」と言われ、「仲が良い夫婦の象徴」としても知られています。
そんな鶴を紙で折り、自分の思いを伝えるために届けたのが、折り鶴の始まりであると言われています(折り鶴の起源は、正確にはよくわかっていません)。
下の写真は、江戸時代に描かれた浮世絵です。「あなたと夫婦鶴になりたい」そんな願いを込めた折り鶴(ラブレター?)を作っているのでしょうか?この女性がどんな思いで折り鶴を作っているのか、すごく気になります!!
引用:原爆の子の像
折り鶴が平和の象徴として、願いが込められるようになったきっかけは、白血病により12歳でこの世を去った、ある少女です。
その少女の名前は、佐々木禎子(さだこ)さん。禎子さんは、2歳のときに広島で原爆の被害にあいました。爆心地から1.6kmという距離で被爆し、住んでいた建物は一瞬で倒壊しましたが、禎子さんは奇跡的に無傷でした。
しかし、6年生になった禎子さんは重い白血病にかかり、長期の治療を余儀なくされました。この白血病は、10年前の被爆が原因でした。闘病生活を続ける中で、禎子さんは「鶴」に長寿祈願・病気治癒の願いが込められていることを知り、「鶴を折れば病気が治る」と信じて折り鶴を作り続けました。作った折り鶴は、1,000羽を超え、2,000羽にものぼるそうです。
残念ながらその願いが通じること無く、禎子さんは12年という短い人生の幕を、閉ざされてしまいました。
禎子さんが亡くなった後、「禎子さんが祈りを込めて作った折り鶴」は世界中に広がりました。折り鶴は、原爆で亡くなった子どもたちを思い、世界に平和を呼びかけるためにつくられた「原爆の子の像」のシンボルになっています。
引用:原爆の子の像
原爆ドームに届けられる折り鶴は、年間約一千羽、重さで換算すると、10トン以上にものぼります。
沢山の人の、沢山の思いが込められている折り鶴とはいえ、毎年ここまで増え続ければ原爆ドーム内の保管場所にも困ってしまいますよね。。
原爆ドームがある広島市は、思いがこもった折り鶴を、再利用するための取り組みに力を入れています。原爆ドームがある広島市の、隣に位置する廿日市市も、この取り組みに全面協力しています!ここからは、廿日市市の企業が行っている、折り鶴を再利用するための取り組みをいくつかご紹介します!
廿日市市にある、「商栄株式会社」では、原爆ドームに届けられた折り鶴を再利用し、「おりづる再生名刺」を販売しています。
この廿日市市の企業では、「平和への思い」を再生紙に変え、繋げていくだけではなく、廿日市市内の障がいを持つ方の雇用も積極的に行っています。
また、その売り上げの一部は、原爆ドームの維持費のために寄付をしています。
資源の有効活用に貢献し、廿日市市の障がいを持つ方の自立支援にも貢献し、世界に平和への願いを発信し続ける原爆ドームにも貢献する。素晴らしい取り組みですよね!!
廿日市市屈指の観光スポット、宮島の寺院「大聖院」では、原爆ドームに届けられた折り鶴を焚き上げ、灰にしています。折り鶴を焚き上げる火は、大聖院がある弥山(みせん)の山頂で、1200年以上燃え続けていると言われる「消えずの霊火」を使っています。
弥山の歴史については、こちらの記事で詳しくご紹介しているので、ぜひご覧ください!
消えずの霊火は、原爆ドームがある平和公園で燃え続ける「平和の灯」の火元でもあります。この平和の灯は、「核兵器が絶滅するその日まで燃やし続ける」という思いが集まり、1969年に建てられました。
消えずの霊火で、焚き上げられた折り鶴の灰は、焼き物の材料として再利用されます。
廿日市市の窯元「対厳堂」では、折り鶴の灰を利用し、「折り鶴ランプ」を作成しています。
引用:対厳堂ホームページ
2023年に広島で行われたG7広島サミットでは、この折り鶴ランプが、廿日市市からサミット首脳陣へと贈呈されました。
また、岸田首相がウクライナを訪問した際も、この廿日市市で生まれ変わった折り鶴ランプがゼレンスキー大統領に贈呈されました。
沢山の人の平和への願いが、廿日市市の伝統工芸品になって、世界に平和を呼びかけているんです!!
今回の記事では、原爆ドームに毎年沢山届けられる折り鶴と、折り鶴を再利用するために廿日市市内の企業で行われている取り組みについてご紹介してきましたがいかがでしたか?
廿日市市の観光スポット宮島から、原爆ドームのある平和公園まで、直通のフェリーもあるので、廿日市市に旅行に行く際は、ぜひどちらも行ってみてください!
原爆ドームには、悲惨な戦争を実感する展示が多く、目を背けたくなる展示もありました。私は心の奥底深くに何か突き刺さったような、衝撃的な感情に襲われました。
それと同時に、戦争のない日本への感謝、自分の生活を見えない所から支えてくださっている人への感謝、普段関わってくれている人への感謝。
自分の周りの全ての環境への感謝の気持ちが溢れてきた時間でもありました。
まだ原爆ドームを訪れたことが無い方は、ぜひ1度行ってみてください!
学生の頃に一度行ったことがある方でも、改めて大人になってから訪れると、また違った学びや感情が得られるかもしれません。
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