廿日市市をもっと楽しむための総合情報マガジン
こんにちは!
広島県廿日市市出身、地元の魅力を発信したいWEBライターです。
お正月以来お餅を食べすぎて、どんどん自分の体型がお餅に近づいてきているのを感じます。宮島を駆け回れば痩せるでしょうか……。
そんな著者のお腹事情はさておき、我らが宮島は、日本三景の一つとして国内外から観光客が訪れる超有名な観光スポット。近い将来、ヒルトングループの高級ブランドホテルが新規オープンする計画もあり、非常にアツいスポットです。
歴史的な建造物からグルメスポットまで、多くの魅力を持つ宮島ですが、シカが自由に歩き回る風景も、宮島ならではの特別な魅力の一つですよね。
つい先日、宮島を訪れた際も、厳島神社の大鳥居のそばで観光客に囲まれるシカたちがとても楽しそうに見えました。どこか愛嬌があって、何度も見ている風景ですが、毎回写真を撮らずにはいられません!
宮島にとってシカは単なる観光資源ではなく、厳島神社にゆかりのある「神の使い」としての側面があるため、地元では非常に特別な存在です。
ですが、人間とシカたちとの触れ合いにはルールも必要です。この記事では、宮島のシカと文化や自然、観光との関係を深掘りしながら、訪れる人々が可愛らしいシカたちの姿を最大限に楽しめるよう、守るべきマナーやルールについてもご紹介します。
宮島のシカは、他の観光地で見られるシカとは、扱いが少し違います。
まず目を引くのは、その自然体な姿。実は宮島では、シカへの餌やりが禁止されているため、シカたちは島の自然の中で自ら食べ物を探しています。
そのため、有名な奈良公園周辺のシカと比べると、少し野性味を帯びた……というか、人間にあまり媚びない雰囲気があります。
シカが宮島で神聖視されるようになった背景には、土着の信仰が深く関わっています。古くから宮島は島全体が神聖な土地とされているため、島内での殺生は厳禁でした。そのためシカも、神の島に住む特別な存在として、人間から大切にされてきました。
※よく勘違いされますが、宮島のシカは「厳島神社に祀られている神様の遣い」ではありません!春日大社付近のシカは、春日大社の神である「建御雷之男神(タケミカヅチノオノカミ)」の御遣いとされていますが、厳島神社の神様の御遣いは鳥です。
江戸時代の記録にも、厳島神社近辺に現れるシカが参拝者の前で堂々と振る舞う姿が描かれているそうです。野生のシカの寿命は平均4年程度とされているので、1600年ころのシカたちは単純計算でおよそ100世代前のシカということになります。
ちなみに100世代前って、人間基準で言うとおよそ1,267,650,600,228,229,401,496,703,205,376年前だそうですよ。……地球ができるよりもずっと前ですね。すごすぎる。
そんな100世代以上前から宮島とずっと歩んできたシカたちは、ある意味宮島の大先輩と言えるかもしれませんね。
私自身、幼少期から宮島を訪れるたびにシカを見かけるのが楽しみでした。
特に思い出深いのは、小学校の遠足で、シカにお弁当を狙われたこと。当時は必死で守ろうと逃げ回っていましたが、今振り返ると微笑ましいエピソードです(笑)。
ただ、近年では観光客との接触が増え、シカたちが人間に近づきすぎることによる課題も見えてきました。
特に観光地周辺では、人間の食べ物を食べてしまい健康を損ねるケースもあるため、地元・宮島ではシカを守るための啓発活動が行われています。
地元住民だけでなく、宮島を訪れる観光客にとっても、シカは宮島の象徴的な存在です。
神社の近くや商店街、紅葉谷公園など、至る所でシカに出会えるため、多くの人が写真を撮ったり、そばでのんびり過ごす姿を楽しんでいます。
SNSにも、シカと観光客の微笑ましい交流を収めた投稿が多く見られますよ。
ですが、観光客とシカの距離の近さが、時に問題を引き起こすこともあります。
私も、厳島神社の近くでシカが観光客の持つ袋を奪おうとする場面にはしょっちゅう遭遇します。
近くの商店街で買ったお菓子などの食べ物を手に持っていたりするとかなり至近距離まで寄ってきますし、私の友人はリュックサックのサイドポケットに入れていたポケットティッシュを食べられたこともあるそうです。
パッと見は微笑ましいシーンなのですが、シカが人間の食べ物を食べてしまうと健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、絶対に食べ物は与えず、必死で逃げてください!
単に食べたもので体調を崩してしまうだけでなく、食べ物のにおいを覚えてしまい、ビニールなどのゴミも食べてしまうようになってしまう可能性もあります。
地元の取り組みとしても、島内には「シカに餌を与えないでください」という看板が至る所に設置されています。餌やりを禁じる理由は、シカの健康を守るためだけでなく、自然の摂理を保つためでもあります。
シカが本来持つ野生の暮らしを維持するためには、人間が適切な距離感を保つことが大切で、必要不可欠です。
観光客がシカと触れ合うときには、餌を与えない、適切な距離を保つといったルールをしっかり守ることで、より良い共存環境を実現していくことができます。
また、ゴミを持ち帰ることも重要なポイント。人間の食べ物を与えない・味や匂いを覚えさせないことにもつながりますが、シカが誤ってプラスチックやタバコなどのゴミを食べてしまうと、消化器官に深刻なダメージを与える可能性があります。
これらを含めて、宮島では、観光客への啓発活動が積極的に行われています。シカと観光客の適切な関係を保つためのポスターや看板が島内に設置され、シカを守るためのメッセージが発信されています。
さらに、シカの健康管理や生態調査を通じて、彼らの生活環境を守る努力が続けられています。廿日市市ではシカを自然に帰すために「餌やりの禁止とゴミの管理の徹底による個体数管理」を対策の柱とした「宮島地域シカ保護管理計画」を策定し、地域住民の理解と協力のもとに保護管理を進めている状態です。
宮島を訪れる人たちみんながこれらのルールを守ることで、宮島のシカたちとの共存がより良いものになっていきます。
いつまでも宮島でシカと共存していけるよう、しっかりとルールを守りましょう!
シカは、宮島の自然環境にとっても重要な存在です。
彼らは草木を食べることで宮島の植生をコントロールし、島の生態系にも影響を与えています。
一方で、シカが過剰に増えると特定の植物が食べ尽くされてしまい、生態系のバランスが崩れるリスクもあります。
逆に減りすぎても、短期的には植物への害は減るかもしれませんが、長期的に見るとフンによる土壌のコントロールなどが失われ、結果的に植生や生態系を大きく損なう可能性があります。
島内ではこうした課題を解決するために、シカの生態を観察しながら対策が講じられています。例えば、特定のエリアで植生を保護する取り組みや、シカが健康的に暮らせる環境を整備する努力が行われています。
宮島の自然を守るためには、観光客だけでなく宮島の住民の協力も欠かせません。シカと自然が調和した宮島の姿を未来に残すために、みんなでシカとの上手な関わり方を考えていく必要があります。
つかず離れず、お互いを尊重していきたいものですね。
宮島のシカたちは、観光の象徴であると同時に、島の自然や文化と深く結びついた存在です。
彼らの姿を通して、宮島が自然と共存しながら発展してきた歴史を感じることができます。
観光地としての宮島を楽しむ中で、シカたちと適切な距離感を保つことはとても大切なことです。餌を与えない、ゴミを持ち帰るといった基本的なルールを守るだけで、宮島の美しい自然とシカの共存を未来に残す手助けができます。
子どもたちや、もっと先の世代にも、しっかりと宮島の文化を受け継いでいくために、ぜひみんなでシカと上手に付き合っていきましょう!
次に宮島を訪れる際には、ぜひシカたちとの触れ合いを楽しみながら、彼らを守るために自分ができることを考えてみてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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