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こんにちは!毎度おなじみ、廿日市市在住のWEBライターです!
【引用:日本伝統文化振興機構】
宮島の工芸品と言えば、杓子(しゃもじ)だ!という方も多いかと思います。実際それは本当で、以前、こちらの記事で特集した通りです…
ですが!宮島が誇る木工品はそれだけではないのです!
【引用:日本伝統文化振興機構】
宮島の工芸品には、杓子をはじめとする「刳り物(くりもの)」、ろくろを用いた「挽き物(ひきもの)」、美しすぎる「宮島彫り」と、様々な種類があるんです。これら全てを併せて一般には「宮島細工」と呼ばれています。
今回の記事では、そんな宮島細工の歴史と魅力について、とことんご紹介していこうと思います!読み終わったころにはあなたも宮島細工の虜になること間違いなし!
ぜひ最後までお楽しみください~
宮島の伝統工芸品、宮島細工の歴史には諸説あります。
一説には鎌倉時代ごろから、寺社仏閣の建設のために京都や鎌倉から集められた宮大工や指物師の技術が受け継がれたことが、宮島細工が作られるきっかけになったと言われています。
他の説では、こちらの記事でご紹介したように、一人の僧侶が杓子を考案し、それがお土産として多く売れたことがきっかけとも。
ともかく、神聖な宮島の、由緒ある豊富な木材を原料にできたことや、今の廿日市市に当たる地域が木材を集め、各地に輸送する要所であったことが、宮島に木工品が特産として根付く要因ではあったでしょう。
その後、1850年頃までに、ろくろを使った挽き物の技法や、彫刻の技法が伝えられたことによって、宮島の木工技術は多彩に発展していきます。特に日用品の制作においては高い評価を得ていた傍ら、その芸術性の高さも目を見張るものがありました。
その技術力の高さは、明治時代末期に全国から職人が修行に来ていたほど!
そして、宮島細工は1978年に経済産業大臣によって伝統工芸品に指定されました。現在では広島県の伝統工芸品にも指定されています。こうして、宮島細工の高い評判は、今でも廿日市市の杓子の生産量が全国1位になるほどに根付くことになったのです!
ここからは、宮島細工がどのように作られていくのか、具体的にご紹介していきます!木目の美しさを保ったまま製品を作るには、途方もない時間と苦労が必要です。
以下では、刳り物、挽き物の順番で具体的な工程を解説していきますね!
①木取り
【引用:広島県商工会】
仕入れた木材を確認し、木目の状態によって、どこを、どんな風に使用するかあたりを付けつつ、無駄が出ないようにしながら鋸で切り分けていきます。そして小分けにした木材から、手斧(ちょうな)を使って作りたいものの大まかな形をとります。
②乾燥
本格的に削る前に木材を自然乾燥させます。変形や収縮を防ぐ目的がありますが、その期間はなんと1~2年!この工程を挟むことで、高品質な製品になるそうです。
③刳り
乾燥の後、実際に使用する形にまで、刀や鉋で刳っていく作業です。
杓子の場合はまず、米などをよそう、『顔』と呼ばれる部分を作っていきます。スプーンのようなくぼみをつけたら、その反対の背、と呼ばれる部分を削ります。もちろん削りすぎると穴が開いてしまいますし、削らな過ぎれば使いにくくなってしまいます。
既定の厚みに削るこの作業が、職人の腕が試される難所になってきます。そこまで終わると、次に横の部分を削って丸く成形します。
そこまで終わったら、反対側、柄の部分の成形に進みます。こちらは、すでに作ってある部分とのバランスを考えながら、持ちやすさを意識し、丸みのある形を目指して削っていきます。
④研磨
形ができたら、やすりで磨いていき、より滑らかにしていきます。水で洗うことで木目を立たせながら仕上げていくこの作業は、何回も何回も行われます。
⑤拭きこみ
最終仕上げとして、植物油を塗りこみます。塗りこんだ後一日おき、乾いた布で拭くことで完成となります。水を含ませるために、あえて油を塗らないで完成とする場合もあります。
①木取り・乾燥1
刳り物と同じように木材を確認し、合うように鋸で切り分けます。その後、2~3か月自然乾燥をさせます。
②型取り
割れがないかなどの確認をしたあと、大まかな形を下書きし、鋸で円形をとっていきます。ここで現れる木目が、製品の顔とも言えるものになってくるので、慎重に作業が進められます。
③粗挽き
【引用:広島県商工会】
ろくろに取り付けて、作品の外形をとっていきます。余分な部分を落としたあと、少し厚めに作品の形をとります。ここでは10種類の鉋を使い分けて、職人の勘を総動員させながら微調整をしていきます。
④割れ止め・乾燥2
表面に割れ止め剤や蝋を塗ることで、乾燥による割れを防いだ後に、一年以上自然乾燥させます。
⑤粗仕上げ
乾燥させたものをもう一度ろくろに取り付け、挽いていきます。これをもう一度乾燥させる、という工程を繰り返し、だんだんと完成品の形に近づけていきます。
⑥仕上げ挽き
仕上げ鉋という、仕上げ用の鉋を10種類以上使い分けながら、最後の微調整と研磨のため、ろくろで挽きます。
⑦仕上げ磨き
やすり等を使って、製品を磨き上げて完成となります。こちらでも、水で洗いながら磨くことで、木目の際立った作品となっていくそうです。
刳り物や挽き物はこれで完成ですが、この作品に彫刻を施したものが宮島彫りとなります。作品としてはお皿やお盆が杓子に施されることが多いです。
モチーフ自体を彫って図案を表現する沈め彫りや、逆にモチーフの周囲を削って表現する浮かし彫り、モチーフを立体的になるまで彫る立体彫り等、様々な工法を用いて美しい彫刻が施されます。
【引用:宮島細工協同組合】
木目の美しさと実用性を兼ね備えた刳り物、挽き物に対し、宮島彫りはその芸術性の高さが特徴的です。木目の際立った美しさはどの作品でも変わりませんが、用途に合わせて自分にピッタリなものを探せるのは、宮島細工にしかないアピールポイントです!
この記事を読んで宮島細工が欲しくなったり、宮島細工についてもっと知りたい、という方には、宮島細工協同組合をお勧めいたします!
【引用:宮島細工協同組合】
宮島細工協同組合さんでは、宮島細工の振興に向けて、様々な活動を行っています。作品の展示や、歴史の紹介だけでなく、実際に買い求めることもできちゃいます!
それだけではなく、実際に、杓子を作る体験や、宮島彫りをする体験もできちゃいます!宮島細工の文化に直接触れることができる貴重な機会ですよ!(実は以前、こちらの記事でも宮島伝統産業会館さんとしてご紹介しました!家族でも、大人だけでも楽しめること間違いなしです!)
【宮島彫り体験の様子 引用:宮島細工協同組合】
宮島に訪れれば、杓子は意外とどこでも手に入りますが、これを機に、他の宮島細工にもぜひ触れていただければと思います!
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広島県廿日市市宮島町1165-9
宮島伝統産業会館内
0829-44-2912
体験の申し込み:0829-44-1758
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今回は、宮島細工という、日本有数の美しさと実用性を持つ伝統工芸品についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
宮島の工芸品は杓子だけではない!ということが伝わっていたら嬉しいです!画像を見て気に入った方は、ぜひ実物をご覧になってみてくださいね!
実際に手に取れば、その品質の高さが分かるはずです!もう元の食器には戻れなくなってしまうかも…?!
そんな宮島細工にぜひ触れてみてくださいね~!
それでは、また次回以降の記事でお会いしましょう!
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